前回のエントリーで、NPO法人職員の待遇や、
就職先としてNPO法人を考えている大学生が、
増えていることについて触れました。
そこでもう少し、NPO法人の職員として働くことが
現実的に選択肢になり得るのかを、
掘り下げてみたいと思います。
NPO法人の平均給与は265万円
愛知県の平成22年度のNPO職員の
平均年収は265万円です。
ただし、この265万円という数値は、
年間収入額3000万未満の小規模NPO法人を含めた数値ですので、
年間収入額3000万以上のNPO法人だと、
平均年収300万円を越えています。
また、年間収入額1億円超のNPO法人は、
平均年収350万円を越えていますので、
規模の大きいしっかりしたNPO法人になるほど、
給料の額が増えて行くようですね。
しかし、規模の大きなNPO法人でも職員給与は、
民間・公務員に比べて5割～7割といった水準で、
福利厚生や退職金などは、ほとんどありません。
そのため、若い世代がNPO法人に就職しても、
数年が経ち仕事に慣れると、収入が増えない事への
不安を抱えて離職してしまう傾向があるようです。
組織の安定性は？
いわるゆるNPO法が出来たのが1998年ですので、
多くのNPO法人が設立5年以下です。
そのため、一般の株式会社に比べて、
組織が不安定な点は否めません。
ただしNPO法人にも様々あり、
専門性・知識を生かして
有益な活動を行っている団体もあれば、
一方で行政の下請け的存在になって、
安価な労働力を派遣するだけの団体もあります。
当然後者の方が、事業基盤が不安定で
組織の安定性に欠けます。
もちろん、お給料も安い傾向がありますので、
働く側にとっても、行政の下請け的なNPOは
長く働きづらい環境にあるようです。
キャリアパスへの不安について
NPO法人に就職して、どんなスキルが身につくのか、
それが将来転職市場にどの様に評価されるのかは、
多くの人が気になる所だと思います。
管理人の知人が比較的お堅い上場企業で人事をしていますが、
一般企業を経験していない海外青年協力隊や、NPO法人出身の人は、
ユニークな人が多くて採用リスクが大きいので、
一般企業からの転職者比べて、落ちる傾向がある、
と言っていたのが印象的です。
まだまだNPO=ボランティア、のイメージが強いですから、
業務に直結しない経験は、一般企業の就職時に不利に
なる傾向が残念ながらあるようですね。
しかし逆に言えば、一般の会社でも即戦力になる経験をしたり、
役所や独自の人脈をアピールして、転職に成功する例もある様なので、
NPO法人の在籍時に何の得られるかが大切になります。
そのような経験値を得られるNPO法人は、就職先として
検討する価値はあると思います。
採用側は即戦力をもとめている事が多い？
ほとんどのNPOは、事業や組織が固まっていない事が多いので、
日々の業務が属人的で、採用スタッフに対して、
受け入れ時の環境が未整備な場合がほとんどです。
その分被雇用者側が、自発的に率先して動く必要がありますが、
即戦力としてすぐに活躍できる、知識や経験が必要になってきます。
NPOだから、一般の会社よりも
仕事がゆったり出来るだろうと思っていたら、
終電が毎日続くくらい忙しい 職場だった、
という場合もあります。
事前にインターンやボランティアなどをしていれば、
問題は少ないでしょうが、イメージ先行で入社した場合、
仕事の多さや、事前のイメージと大きく違うことを理由に、
早期に退職してしまう人もいますので、
お互いの意識のすり合わせがとても大切です。
以上見てきましたが、
NPOに就職することを考えてみる価値は、
もちろんあります。
ただし、給料は一般企業と比べ減る可能性は高いため、
その分のやりがいや充実感を得る事ができるか、
注意深く志望するNPO法人を選ぶ必要がありそうです。
就職先探しは、民間企業と並行で進めたほうがベター！？
NPOに就職を考えている人は、社会貢献したい！という人の他に、
就活がうまくいかない人、フリーター、第二新卒の方など千差万別です。
管理人は以前、NPOに関連する仕事をしていたので、
友人や知人に何度かNPOの就職について相談を受けるのですが、
NPO就職希望者の人がなぜか共通して良くしてしまうミスなのが、
NPOのみに就職活動を限定してしまうことです。
法律的にNPOと株式会社との大きな違いは、株主への配当の有無だけです。
そのため活動内容が株式会社と大差ないNPOもかなりあります。
逆に言えば、NPOのイメージに近い活動を行っている株式会社もたくさんあります。
そのため、NPOのみに就職先を限定してしまうと、
せっかく自分のやりたい仕事を与えてくれる株式会社があるのに、
知らないまま就職活動をするという損なことになります。
最近は、第二新卒やフリーターの正社員への転職を積極的に斡旋している
就職支援会社もあります。
例えば、『リクナビ』『リクルートエージェント』でお馴染みのリクルートキャリアなどは無料登録さえすれば、
模擬面接や研修などのサービスを受講でき、書類審査なしで希望に沿った企業にエントリーできたりします。
今は漠然とNPOに就職を考えている人も、
上記の様な会社のサービスなどを利用して、様々な業種の企業を
訪問することで、自分の進みたい道などが見えて来るのでは
ないでしょうか。
現在NPOへ就職希望の人も、一般企業への就職も視野に入れて
活動することをおすすめします。
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